2018-3-29

江戸の食文化を継承する 向じま梅鉢屋

 本日はすみだ3M運動「工房ショップ」の1つ、「向じま梅鉢屋」の店主で、「すみだマイスター」でもある丸山 壮伊知さんにお話を伺いました。

 梅鉢屋は小村井駅から徒歩10分の場所にあります。店舗前には、野菜菓子ののぼりが立ててあり、店内では、野菜菓子のほか、甘納豆や最中などが販売されています。喫茶スペースも併設され、ここではあんみつやお茶を提供しています。

お店の外観

のぼりには野菜菓子の文字


 「野菜菓子」は江戸時代から続く食文化の1つですが、今では梅鉢屋が東京で製造・販売する最後の1軒となりました。野菜菓子は元々「砂糖漬」と呼ばれ、野菜類を糖蜜に漬け込み、繊維の中までしみこませたもので、果物を砂糖でコーティングするボンボンと同じように果物や野菜等を長期保存するために発達してきました。

作業中の丸山さん


 梅鉢屋は、10種類以上の野菜菓子をつくっていますが、繊維質の多いみかんやショウガ、ゴボウなどは比較的早く、3日程度で漬け込むことが出来、大根やナス、トマトは1週間かけてじっくり丁寧に漬け込むそうです。野菜菓子は約75%の糖蜜に茹でた野菜を漬け込み、味をしみ込ませていくそうですが、いきなり高濃度の蜜に漬けると素材が縮まり、シワシワになってしまうため、茹でたままの形で漬け込むには、時間をかけながら、少しずつ蜜の濃度を高めていく必要があります。“色を付けず、味を付けない。”野菜という素材を活かすことが、一番のこだわりだと丸山さんはおっしゃっていました。

様々な種類の野菜菓子

 梅鉢屋では、高度経済成長期から野菜菓子と技術的に似ている甘納豆の製造に力を入れ、機械化を進め、大量生産を行っていたそうですが、野菜菓子という伝統を守る丸山さんにとって大量生産は本質と異なり、当時は葛藤の毎日だったとおっしゃっていました。そのような状況の中、丸山さんはすみだ3M運動に参加したことで、自社のPR方法について学び、自らが目指すべき店作りを考えるようになっていったそうです。
 この運動への参加をきっかけに梅鉢屋の本質は「野菜菓子」であると再認識し、今でもその考えは変わっていないと、丸山さん。当時導入していた機械はすべて処分し、野菜菓子を手作りし、その良さを伝えていくことにシフトしていきました。平成元年には、梅鉢屋はモデルショップ(現在の工房ショップ)に認定されています。

梅鉢屋の店内

商品ケース

 野菜菓子という“江戸の食文化”を絶やすことなく、次世代に継承し、江戸野菜を復興させることが自分の使命だと、丸山さんは言います。明治以後の技術力は日本の文化ではなく、江戸文化こそが世界にPRすべき日本文化である、そのためには梅鉢屋の本質を決して忘れず、1人でも多くの人にしっかりと手作りの良さをアピールすることが重要だとおっしゃっていました。

 「向じま梅鉢屋」の「向じま」は現在、店舗を構える墨田区八広の地がかつて向島区(※)だったことから名づけられています。向島区には、田園風景が広がり、暑い季節には避暑地として利用されていた風流な場所でした。
 侘び寂びが息づくこの向じまの地で、手作りにこだわって、本当に良いものを作り続ける。今日も丸山さんは江戸の食文化を守り続けています。

 丸山さん、お忙しいところ、ご対応いただき、ありがとうございました。

※向島区
 かつて東京都に存在していた区で、現在の墨田区北部に位置していた。1947(昭和22)年に向島区は本所区(現在の墨田区南部)と合併し、墨田区となった。

■工房ショップ 向じま梅鉢屋
■すみだマイスター 丸山 壮伊知
■向じま梅鉢屋HP

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