2017-8-24

五感でつくる錺(かざり)かんざし かざり工芸三浦/錺かんざし博物館

今回は、すみだマイスター 三浦 孝之(たかし)さんが運営する、工房ショップ「かざり工芸三浦」と小さな博物館「錺かんざし博物館」をご紹介します。

三浦さんは、ひいおじいさんがブローチやかんざしなどの婦人装身具をつくるようになった、明治の頃から約100年続く錺職人の四代目。平成18年にすみだマイスターに認定されました。

絵を描くことやものづくりが好きだった三浦さんは、はじめはデザイナーとして広告代理店に就職されました。錺職人になったきっかけは、おじいさんが亡くなった時に家業の大切さに気づいたことで、それからは、販路開拓をしながらお父さんに師事し、修行を重ねてこられました。

錺を製作する三浦さん

錺の中の細かい部分を糸のこぎりで裁断する様子


現在は、歌舞伎やお芝居、時代劇等で使用される伝統的なかんざしを中心に製作しながら、一般の人が和装の時だけでなく、日常生活の中でも使いやすいかんざしも製作しています。その取組のひとつとして、「錺かんざし」が「すみだモダン2010」に認証されています。また、展示会用のオリジナルかんざしも製作されています。

「すみだモダン2010」認証商品「錺かんざし」

「和のあかり×百段階段2016」(目黒雅叙園)で展示された作品(竜宮城をイメージされています)


かんざしは、縄文時代の遺跡から発掘されていて、当時は珊瑚(サンゴ)や象牙などで作られていました。先の尖ったものが魔を祓うとされ、お守りとして髪に挿されていました。そのため、かんざしの文様は、「とんぼ」(※1)や「かたばみ」(※2)などの縁起のいい意味合いの動植物が多いそうです。

かんざしが装飾品として華やかさを持ち始めたのは、様々な種類の日本髪が結われるようになった江戸時代の中期頃で、かんざしの種類も平打ちかんざしや玉かんざしなど多様なかんざしがあります。また、季節に合った模様のかんざしなどで、江戸時代の女性たちはおしゃれを楽しんでいたそうです。

※1 とんぼ:後ずさりせず一直線に前に進み、空中で獲物を捕らえる姿から、勝負に強いとされ、戦国時代には「勝ち虫」と呼ばれた。
※2 かたばみ:繁殖力が強く、一度根付くと絶やすことが困難とされ、繁栄や不滅のしるしとされている。

伝統的なかんざし・くし

様々な素材のかんざし・くし

歌舞伎等で使用されるかんざし

かんざしの髪型

小さな博物館では、歌舞伎等で使用される伝統のかんざしや製作工程のパネル、実際に使っている道具が見られます。

製作道具(一式)

製作道具(松ヤニ台)

家紋帳

錺かんざしは、金属の錺(かざり)でつくられています。三浦さんは、小さい頃から自然との触れ合いや動植物の観察をよくしていたので、その経験をデザインに活かしたものを多くつくっています。今でも、よく公園に散歩に出たり、登山をしたりして自然との触れ合いを大切にされています。また、工房には植物があり、日頃から感性を養うようにしてものづくりをされています。

工房の観賞用植物と玉かんざし

アイデアからすべて手作りでかんざしをつくる職人が減ってきている現在、三浦さんは、伝統のかんざしを復刻したり、伝統のかんざしを現代に合うようにアレンジしたり、お誂えを受けて、錺かんざし文化を後世に伝えています。また、工房では若葉のかんざし・根付けのワークショップも行っています。

「錺を組んだ時、花びらや動物の動きを本物のようにきれいに見せるようにする作業がとても細かくて大変。でも、頭をひねって図面を描き、かんざしが完成した時やお客様に喜んでもらえた時の喜びは大きい」とおっしゃっていました。

1つの錺ができる過程

とんぼの根付け

取材中には、三浦さんが「すみだ まち処」で実演されているのを見てかんざしに興味を持ったというフランスからの留学生が工房に来店されていました。

「ネットの普及によって簡単にものを購入できる時代だけど、直接、店に来てかんざしを見てもらいたい。かんざしをもっと気軽につけてもらえるように製作をしていきたい」と今後の抱負を語っていただきました。

古くから続くかんざし文化とその美しさ、三浦さんの職人としての情熱が伝わってくる、とても興味深いお話を伺えました。

三浦さん、ありがとうございました。

■小さな博物館 錺かんざし博物館
■すみだマイスター 三浦 孝之
■工房ショップ かざり工芸三浦
■かざり工芸三浦ホームページ

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